ふと、私は疑問に思った。
『…あの人は…?』
いつも…蒼のそばにいる人。…誰だっけ。
「…里緒は別だ。」
『…里緒…さん。関西人なのかな…?』
「…ああ。」
『…コンタクト、まだついてる。』
「取った方が良いか?」
『…どっちでも良い。』
そんな話をしている内に、学校へたどり着いた。
「何あれ」
「蒼様の何よ。」
「姫かなあ」
「また遊びだろ。どーせ。」
色々な声が聞こえる。恨み妬みがたくさん。
『…ありがとう。それじゃあ。』
「…オイ。」
『何?』
「…いや、何でもない。」
『?…そう。それじゃあ。』
振り返らずにまっすぐ教室へ行った。
私は出欠を取ったあと、すぐに屋上に行った。
青く澄んだ空と白のコンクリートがキラキラとしている。少し眩しいくらいだ。
『…出てきていいよ。』
二匹の子猫がカバンの中から出てくる。
「ミィ~」
「ニャー」
『…可愛い。可愛い過ぎる。』
私はその日、ほとんどシロとクロと一緒に屋上にいた。ほとんど本を読んだり、愛用のパソコンをいじったり、たまにいちごみるくを買いに5回くらい行ったりしたけど。楽しかった。
『…それじゃあ、帰ろっか。』
ふと、また下を見ると、遠目に長い黒塗りのベンツが止まっていた。恐らく、蒼を待っているのだと思う。
…もしかしたら私という可能性もある。昨日、ルカさんが言っていたように、仕組みを説明されるのかもしれない。
『…めんどくさいから、帰ろう。』
表門だと、あのベンツがいるから、裏から帰ろう。人影も少ないし、何より道路がないから車も停めようがない。
『…これでバレない。』