『……乗らないって…』



「もう遅い。」



『…誘拐…』



「違う。」



『…猫、いるのに。』



「…迷惑にならないのなら大丈夫だ。」



『…そう。』



…無駄に長い車だ。この人はお金持ちなのか否か。




「…オイ。」



『…?』



「名前。」



『…?二宮…灯?』



「違う。俺の名前。」



『…えーと…?』



「……一ノ瀬蒼。忘れるな。」




『…一ノ瀬。』



「蒼でいい。」




『…蒼。』




蒼は無表情だけど少し満足そうに頷いた。