『…ホントに、いる…。』



来なくていいって言ったのに。



家からコンビニは目と鼻の先だ。窓からとてもとても鮮明に見える。明らかにおかしい黒塗りのベンツ。



『…無視しようかな……ん?シロ。どした。』



シロが足に擦り寄ってくる。そろそろ学校に行かないと遅刻する時間だ。



『…もしかして、来たい…とか?』



「ニャンッ」



『…えええ。…まあ、いいか。ちっちゃいし。一匹だけなら……あれ、クロも…?』



「…ニャア」



『…わかった。今日は出欠取ったらもうサボる。』



「「ニャアァ」」



『…はいはい。』



全く、うちの子は外に興味深々なんだから。



可愛いったらありゃない。



問題はあの車…どうしようかな…。どっちにしろ猫連れてくから乗れないし、乗りたくないし…



とりあえず近付いて乗れない話をして学校に行こう。…そうしよう。




ガチャ



『…行ってきます。』



その声が、部屋に響いた。