私を持ってどんどん歩く彼を、私は呑気に
(割とイケメンの部類に入る。)
と、二人の顔をそれぞれ分析していた。
…と同時にようやく私は気付いた。この状況を。
『…あの、離しt』
「駄目だ。」
『……。』
「…俺に目線向けてもなあ、無理なもんは無理や。堪忍してや。」
…どこに連れていかれるか分からない分、さっき程ではないが不安になってきた(ていうかこの人ずっと私を抱き上げてるけど、重くないんだろうか)。
色々と考え込んでいるうちに着いたようで、その足は止まった。私は完全に後ろを向いてる状態なので前が全く見えないけど、この人の目的地に着いたのは明確に分かる。
…いや、見えなくても分かるほどの人の気配。何人いるんだろう…せいぜい40から50くらいだろうか。
「「「「「「「「ちわーっす!」」」」」」」」
何人かが一斉に挨拶をしてきた。…全員男だからか、大分迫力満点の挨拶。
「おー、お前らまだいたんか。そろそろ帰った方がいい。」
「…。」
あの関西人っぽい人は応えるけど、私を抱き上げてる本人は全くの無反応。少しは挨拶したらどうかと…関係ないどころかここはどこ状態の私が思ってしまった。