「上行くぞ。」
そう言われて、目線を端に寄せると、少しだけ古びている階段があった。
きっと上は幹部室とかがあるんだろう。
「……誰だあいつ……。」
一人がぽつりと呟くと、下っ端からの視線が一気に集まる。
ていうか、気付くの遅くない?
あたしはそれほど存在感ありませんかね?
「見たことねぇな。」
「結構美人じゃね?」
「……あいつ、紅須未音……?」
「は!?あの!?」
何て言う色々な声。
あたしと同じ学校の人達は多分知っていて、違う学校の人達は知らないって事かな。
ま、何でも良いけど。
一つ言わせて?
あたしを美人って言った人、目可笑しいんじゃない?
あたしが美人なわけ無いじゃん。
チラッと下っ端の方を見ると、まだ見られている。
でも、これが当たり前。
誰でも知らない人が居たら、分かるまで結構見ちゃうよね。
前もそうだったから良くわかる。