後ろを歩く凜くんたちも、よそよそしくてあまりデートをしているようには見えない。
…桃にとっては凜くんが初めての彼氏だ。
クラスが別れてしまってからは、あまり話す機会がなくて寂しかった。
だけど、凜くんのおかげでまた話せることが出来たのに…桃、楽しめてるかな。
「…じゃ、まずはお化け屋敷でいいんじゃねえの」
「えっ…!?」
五十嵐くんが向かっていたのは、県内でも怖いと噂されているお化け屋敷だったようだ。
唖然とするあたしを置いて、さっさと入ろうとする五十嵐くん。
「あ、あたしはやめておこうかな…。
ホラー系見ると、夜眠れなくて…」
「お、俺もそうしようかな…」
「じゃあ私行ってくるよ」
この流れでお化け屋敷は無しに―、と思ったけど、予想外なことに桃が手を挙げた。
驚くあたしと凜くん、そして五十嵐くんも珍しそうに桃を見ていた。