「暑い…」
日差しが照りつける中、陽炎が揺らめく急な坂を登っていく。
「美月!」
後ろを振り向くと、ふわふわした髪を揺らして走ってくる女の子がいた。
「海亜」
名前を呼ぶと彼女はにこにこ笑っていた。
「相変わらず、涼しい顔してるね!」
「そんな事ないよ、海亜の髪が長すぎるんじゃない?」
「ええー?そんなにかな?」
海亜は自分の髪をクルクルと指でいじって、少し困ったように笑った。