「久々に見たな、この箱。」

そう言って僕は少し錆びた箱を開けた。

中に入っているのは、幼なじみ達のサインと寄せ書きや手紙。

懐かしい写真や無理矢理撮ったプリクラ。

どの写真を見ても、楽しかったあの頃を思い出す。

最後の写真をどけると、誰よりも綺麗な文字で”中里春輝くんへ”と書かれた厚い封筒があった。

中を見ようかなんて考えたその時、電話が鳴った。

そういえば待ち合わせまであと30分を切っていた。

僕はその箱を閉じて部屋の見える場所に置いた。

これをみたら彼女なんて言うのだろうか。

わざとやめてよって言うだろうか。

いや、きっと彼女のことだから、

泣くのを堪えようとしながら笑って

「あの時、楽しかったね」なんて言うんだろう。