キーンコーンカーンコーン・・・。


委員会が終わり、皆がだるそうに教室を後にした。



「あのっ。」

教室を出ようとした彼を引き止める。


彼は立ち止まった。





「さっきは、ありがとうございました!」

私は笑って深々とお辞儀した。




「ほら、まただ。」

頭上から声がした。


私は頭を上げた。




そこにいた彼は、悲しい瞳をしていた。






「あんた、辛そうに笑ってる。」


辛そう・・・?


心がざわざわした。


泥棒が盗んで隠した、大切なお宝の在り処を警察に見破られたかのような感覚だった。



「あ、それと。さっきのは別に気にしなくてもいいから。」
彼は続けて言った。



そして彼は廊下を歩いていった。





私は何も言えずにただ立ち尽くすばかりだった。