-ガラガラッ…

再び職員室のドアを開け入る。



「おっ!居た。」

私が小声でつぶやくと、坪山も私に気づいて手招きをしている。


「何ですか…?」

私は恐る恐る先生の教卓の前に立つ。



「説教とかじゃねぇーから心配すんなっ!」

くしゃっとした笑顔で言った先生の一言に私は胸をなでおろす。


「で?何で呼び出されたんですかね?」

「あー…そのことなんだが…お前なら知ってると思って…」

急に眉間にシワを寄せ、険しい表情をする先生。



さっき安心していたのに私はまた不安に押しつぶされそうになる。


「…え?何をです?」

「いやぁー…桜木のこと。あいつ辞めた理由は言わなかったんだよなぁ。だからいつも一緒に居るお前なら知ってるかと思って。」

「…はぁ…」

私は学校に妊娠してることを隠すってことは、言わない方がいいのだろうと判断した。



「なぁ?桜木から何も聞いてないのか?」

「えぇ…実は私も今日初めて知って…」

「…そうか…だからボーっとしてたのか…」

「…すいません。」

「いや、いいんだ。知らないならどうにもならないしな。もう帰っていいぞ。」

「…はい。」

私は軽く会釈をして職員室を出た。