-先輩-


俺は雨の中、ゆっくりと向かう。

未来の家に。


今日は未来が学校に来ていなかったから心配して電話したら、目が腫れてるからって単純な理由で…


「くくくっ…」

俺は思わず笑ってしまう。


未来の家に着いた頃には、雨は上がっていて、空には綺麗な虹が掛かっていた。


未来と一緒にこの空を見上げたいなぁ、なんて考えながら呼び鈴に手を掛ける。


“ピンポーン”


雨が上がってすぐの住宅地には人影はなく、インターホンが静かに鳴り響く。



『はい?』

「あ、高倉ですけど。」

『あ、慶太くん?』

「はい、未来さん居ますか?」

『未来ねぇー、お友達の所に行ちゃってるのよー』

「…はぁ…そうですか…わかりました。」

気の抜けた返事…。



俺は未来が居ないことに結構ショックを受けた。


俺…ちゃんと行くって言ったのに…

あいつ忘れてんのか?ぜってぇー許さねぇー…!!


『ごめんなさいねぇ。もうすぐで帰ってくると思うから家で待っとく?』

「あ、いえ、外で待たせてもらいます。」

『わかったわ。』

「はい、失礼します。」



俺は傘を横に立てかけ、玄関前に座る。