「そろそろ帰るか…」
先輩のその言葉に私は急いで時間を確認した。
「…やっばっ!!!」
時計を見ると時間は11時を過ぎていた。
「おいっ!!いきなり大声出すなよ。こんな夜中に…心臓止まるだろっ!!」
先輩は胸をさすりながらそう言った。
でも、今の私に先輩を心配する余裕なんてなかった。
遅くなるとは言ってきたけど、門限は10時だし…。
1時間もオーバーしちゃうなんて…もう出掛けられなくなっちゃうよ…。
そんな心配をよそに先輩は手を握ってきた。
「危ないから送る。手繫いで歩こ?」
「…うん…ありがとう。」
手を繫いできた理由がわかった。
危ないからって…やっぱり先輩のふとした優しさに目が染みる。
私たちは色々なことを話しながら帰る。
気づけばもう家に着いていた。
「じゃ…またな。」
「うん。おやすみなさい。先輩を気をつけて。」
「あぁ!!じゃーな。」
先輩は私に背を向け手を振った。