それぞれ席に着いた卒業生の中に、

ひときは目立つ人が居た。



見た目は普通なんだけど、

私の中で特別な人だから、

何をしていても目立っちゃうんだよね…


…先輩。




かっこいいよ。


普段よりちょっと髪をおしゃれにセットしている先輩。




卒業式だもんね…。


でも、そんなことより周りが先輩のこと見ていないか気になっちゃうよ…。



「ねぇー秀二先輩、今日やたらかっこよくないっ!?」




・・ほぉ~ら…


だから言ったのに。


普通にしてて。って…。




後ろの子たち…秀二先輩のファンなんだよぉ?




こんな焼きもち焼いちゃう私だから、

かっこいい先輩をみんなに見られたくなかった。




私だけの…先輩。




『第64回、卒業式を行います。』


卒業式、開会の言葉。




もう、卒業生の中には肩を震わせている人が居た。