Basket Ball Club2〜ずっと大好き〜



そして気づけば未来が俺の腕の中に居た。

顔が近かったからびっくりした。


はっ!?って思ったけど、考え直したら俺がしてたことだ…。

こういう状況になってしまったからこそ…


伝えようと思った。

俺は一息ついて…伝えた。


“好きだ”と…。



「ちょっ…直哉っ!離してっ!」

未来はそう言いながら俺の腕の中で小さく暴れている。


でも…俺は腕の力を緩めることはなかった。


「離さない。」

俺がそう未来に言ったとき、未来の動きが止まった。




「初めて見た時から、未来のこと好きだった。友達に向かって笑う笑顔…男女共に厳しい未来…すべてが可愛くて好き。未来がいつもボーッとしてる時は、本気で心配した。でも次の日には何もなかったように笑顔になってる未来がずっと好きだった。彼氏が出来たって聞いたときは、本気で死ぬかと思った。しかもその相手が一番モテる人だったとは…俺は絶対敵わないと思った。だから、気持ちだけ…俺の気持ちだけ知ってほしい…。俺はずっと好きだった…そして、これからもずっと南未来が好きだ。」


俺は今まで押し殺していた気持ちを全部伝えた。




なぁ…未来?

聞いてるか?俺の気持ち。


俺が今までずっと隠し続けてきた気持ち。

これが俺の本当の気持ちなんだぜ?


なぁー…未来?

俺に振り向いてくれる確率はねぇのか…?


俺がこんなにお前を思ってるのに…?




先輩から俺…ってなら…ねぇよな…。






「未来…?聞いてるか?」

俺が未来に問いかけても腕の中に居る未来は、何も反応しなかった。



「おいっ!未来っ!」

無反応な未来に必死に声を掛ける。


「えっ!?あっ!?ごめんっ!!!」


驚いた表情をした未来が返事をした。


「いや…いいけど、聞いてた?」




「…うん、私こそごめん…」

「え…?」

何で南が謝んだ…?


何も悪いことしてないぜ?


「私…直哉にいい答えは出せない…」


そう言った南の目から静かに涙がこぼれた。


はっ!?

なっ…なっ…なんで泣いてんだよっ!?

「おいっ!何で泣いてんだよっ!いい答えなんて求めてねぇーよっ!俺はお前に気持ち伝えられただけで十分だってっ!だから泣くなよっ!」


俺は泣くな!っていうことしが出来ない…。


俺がもう1度抱きしめればこいつは確実に俺を嫌う。



嫌われることはしたくねぇ…。







そう思って手を握り締めた時…。


「ごめん…本当にごめん…でも、直哉のこと…友達としては大好きだよ。」



そう言いながら、

未来は涙を拭き、俺を軽く抱きしめてくれた。


俺は全く現状を理解できなかった…。



「ちょっ!未来っ!?」

「本当にごめんね…。」


未来はそう言いながら俺を身から離し、涙を再度拭いて教室を出て行った。




…なんだったんだ?


やべぇ…俺、あいつに惚れ直したじゃん…。


諦めるつもりだったのによぉ…

あいつ…ありえねぇだろぉ…。



俺…お前のこと一生愛してる。

だから、お前のこと…、


絶対諦めない。



覚悟してろよ、未来っ!!!!!

いつかぜってぇ、俺の方がよかったってその口で言わせてやるっ!







―プルルップルルッ…

ねぇ…出て。

―プルルップルルッ…

ねぇ…出てよ。

―プルルップルルッ…

何やってるの…?早く出て。



コールが何度も続けば続くほど私の心は

不安感に襲われて行った。



―プルルップルルッ…

な…に、して…るの…?



私の目から静かに涙が溢れた時だった…。




『……。』

電話に出た。


でも相手の反応は全くない。

雑音しか聞こえてこない。



「…せ…んぱい…?」

私が震えた声で言った時…



『なに?』

明らかにキレている太い声。


その声ははっきりしていてよく耳に届いた。

…何か怖い…。







「何か…あった?」

『お前こそ、何かあったのかよ?』


先輩の声の太さは変わらない。




いつもだったら、どうしたっ!?って言ってくれるのに…。


私はもっと不安感で押しつぶされそうになる。




「何もないけど…今、どこに居るの?」

私は不安感を誤魔化そうと明るく言った。



『ん?家だけど。』

先輩の声は、相変わらずだった…。



「行って…いい?」

『………。』


無言だった。

寂しい、寂しいよ…先輩。



何か言って…?


家に行っちゃだめなの…?







こらえていた涙がまた溢れてきた。



『わりぃ…今日、会う気分じゃねぇ。』

…え…??


今…何て言った?

何かよく聞き取れなかった…。


もう1回言ってよ?


『おい?聞いてんのかよ?』

「あ…うん。わかった。ごめんね。」


『あぁ。わりぃな。じゃ…』


先輩はそう言って電話を一方的に切ってしまった。



「ばいばい…」

届かない声を私は携帯を耳に当てたまま言っていた。



先輩…何かあった?


ねぇ…なんでそんな不機嫌なの…?

私、何かしたっけ…?


ねぇ…?怖いよ…。




先輩…会いたいよ…。

今日は特に…特に会いたいよぉ…。






―先輩―

俺は見たくないものを見た。


あんなもん、見るんじゃなかった。



どうして今日に限って俺はあそこに行ったんだ…?

地雷を踏んだのも同じじゃねぇか…。


意味わかんねぇよ…俺。


はぁ~…俺、だめだな。




―戻ること数十分前…


俺は今日、未来と一緒に帰ろうと未来の教室に向かった。



未来にはサプライズだから居ないかなぁ?

何て考えながら教室に向かった。



―「きゃっ!」

教室から悲鳴が聞こえた。


誰か居るのは確かだと思って教室を覗き込むと…


未来が居た。




未来…と、誰だ…?


男?



しかも何で抱き合ってんだ?






は…?意味わかんねぇよ?


何してんだよ!


俺は今すぐにでも未来とその男を裂きたいと思った。



でも、俺の足はすくんで動かない。

おい…どうしたんだよ、俺。



かなり動揺してる…。

なぁ…何してんだ俺。


おいっ!しっかりしろよっ!



俺が自分に語りかけてる時…


―好きだ!


と、聞こえた。

誰が?誰を?



誰が誰に言ってんだ…?

俺は今の状況が全く読めなかった。



俺は、ずっと覗き込みながら話を聞いた。







そして、決定的なものを見てしまった。


未来が…自らその男に抱きついた。

何やってんだよ?


未来の好きな奴は俺じゃねぇのか…。



俺はそれだけを思って学校を出た。


未来が…?俺以外の男と…?

やっぱ誰かと付き合ってれば、女って奴は男に飽きんのか…?


はぁ~…俺は何のために未来を愛してたんだよ!



俺は不安感に押しつぶされ、怒りへと変わっていた。



その時―…


―プルルップルルッ…

俺の携帯が鳴った。


―プルルップルルッ…

携帯の画面をゆっくりと確認する。


―プルルップルルッ…

未来…か。出る気ねぇ…。



―プルルップルルッ…

コールが長げぇ…