「おいっ!未来っ!」

直哉が私を身から離し、私の体を揺さぶる。



「えっ!?あっ!?ごめんっ!!!」

「いや…いいけど、聞いてた?」


直哉は私の顔を覗き込みながら言った。



「…うん、私こそごめん…」

「え…?」


「私…直哉にいい答えは出せない…」


私は心の中から何か熱いものが込み上げてきた。


「おいっ!何で泣いてんだよっ!いい答えなんて求めてねぇーよっ!俺はお前に気持ち伝えられただけで十分だってっ!だから泣くなよっ!」


私は気づけば涙が流れていた。

「ごめん…本当にごめん…でも、直哉のこと…友達としては大好きだよ。」


私はそう言って直哉を軽く抱きしめた。


直哉は私の行動にびっくりしていただろう。

私は本当に心から直哉の気持ちが嬉しかったから。



「ちょっ!未来っ!?」

「本当にごめんね…。」


私は直哉の耳元でそう言って、離れて涙を拭きながら教室を出た。




教室を出た私はふと思った。

今が放課後でよかった…。


放課後じゃなかったら…どうなってたか…。



―私はまだ気づかなかった。

この一部始終をあの人に見られていたなんて…。