「にしても…久しぶりだなっ♪お前…黒くなったなぁ!」
慶太…焦げたなぁ。
そんな仕事大変なのか?
無理とかしてねぇーか?
「本当久しぶりです!そうっすか?」
「あぁ。見ないうちに真っ黒!」
「そんな焦げてないっすよ~!!」
「いやいや焦げてるって!」
なぜか俺と慶太は張り合って話していた。
「はははっ!」
すると横から突然笑い声が聞こえてきた。
「何笑ってんだよっ!!」
俺は急に恥ずかしくなって怒鳴った。
「だって先輩と慶太の会話…何か面白いんだもんっ!」
お腹を抱えながら笑う未来と真央。
「慶太は確かにちょっと焦げたね♪」
真央が横からそう言った。
「真央までっ!」
こいつらって本当らぶらぶだよな。
「で?お前、仕事頑張ってるか?」
「あぁ。リーマンだけど外仕事多くて…」
「頑張ってんだな♪」
「まぁ、真央と子供の3人で一緒に幸せ掴みたいっすから♪」
そう言った慶太の笑顔は、今までにない輝きを見せていた。
「そっか。お前は立派になったな!」
俺は心からそう思った。
「あ、実は…」
いきなり何か思い出したような表情をして、小声で話し出した慶太。
「ん?どした?」
俺も慶太に吊られて小声になる。
慶太は真央の方をチラッと見て、俺に視線を戻す。
「俺…実は子供の名前を決めたんですよ♪」
「おっ!?マジっ?」
「はい♪男の子だったら将太、で、女の子だった茉莉(まり)。真央みたいな可愛い女の子になって欲しいっすから♪」
「そっか♪可愛い名前だし、かっこいい名前だな!じゃぁー今からどっちなのか楽しみだなっ☆」
「はい♪」
幸せそうな笑みを浮かべた慶太は最高だった。
俺も絶対未来ともっともっと幸せを掴んでやろうと思った。
慶太と真央以上にな。
「じゃぁー…俺らそろそろ帰るわ。」
気づけば真央の家に行って3時間も経っていた。
「あっ、うんっ!またいつでも来てね♪」
「じゃーなっ!」
真央と慶太は笑顔で見送ってくれた。
「真央っ!安静してないとだめだからねっ!」
「はいっ!気をつけます♪」
「じゃぁね♪」
私と先輩はまた手を繋いで帰る。
「今日は楽しかったね♪」
「あぁ♪俺らも子供欲しいなぁー!」
「ねぇー!」
「まだ我慢かなっ!」
「ごめんねっ!」
「お前は悪かねぇーよ!卒業するまで我慢なぁー!」
「そしたらたくさん子供作るんだぁー!」
「はははっ♪楽しみだなっ☆」
私と先輩は笑顔でそう話す。
「おっはよ〜♪」
「今日は朝っぱらからテンション高いなぁ〜!!どうしたの未来?」
私たちは入り口に立って会話をしている。
「え?何もないよ〜?はははっ!」
私はなぜか今日…テンションが高かった。
それはなぜ?
私にはこのテンションの高さに疑問を抱く。
「お前…朝から変だな♪」
そう言って私の肩にポンッと叩き、教室に入って行ったのは直哉だった。
−ドキッ…
何で心臓が反応してんの!?
意味わかんないっ!!!
「……く?……未来?聞いてる?」
「えっ!?あっ!!ごめん、聞いてなかった。なに?」
「うぅん、別にいいんだけど…上がったり下がったり忙しいねっ!!ははっ♪」
「本当ごめ〜んっ!!」
そう言った後、私たちはそれぞれの席に座る。
ん〜…?
さっきのはナニ…?
私…何でドキッとかなってんの…?
ねぇー…。
一体……この気持ちはナニ…?
ーバコッ!!!
「……いっ…たぁ〜…!!!」
私はいきなり頭をクラス名簿でおもいっきり叩かれた。
「痛いじゃねぇー!!南…お前最近ぼーっとしすぎ!!ちゃんと話し聞かんか!!」
「………はぁ〜い…」
私はヒリヒリする頭を撫でながら、やる気のない返事をする。
「はははっ!!何やってんの!!!」
隣に座っている友達…
佐藤亜由美に小言で突っ込まれた。
この子は一見おとなしいが、話してみるとすごく積極的でとても思いやりがある子。
「もぉ〜!!うるさいなぁ〜!!」
私も小言で亜由美に反発する。
「だって未来、最高なんだもんっ!!」
そう言った亜由美は、お腹を抱えながら笑っていた。
それを見た私は急に恥ずかしくなってきた。
「ちょっ!!!//亜由美やめてっ!!」
「はははっ!!くくくっ!!!」
亜由美の笑いはひたすら止まる気配が見えず、声を押し殺して笑っていた。
「ありえない…」
私がそう言うと、笑いすぎて目に溜まった涙を拭きながら、ごめんごめんっ!!と謝ってきた。
「…ぷっ!!」
ん…?なに?
何か聞こえた…?
あっ!!!!!!!
って思った時にはもう、お腹を抱えて笑っている直哉が視界に入った。
「くくくっ!!はははっ!!」
「ちょっ…!!!何よっ!!」
「なっ…なっ…何でもねぇよっ!!」
必死に笑いをこらえながら、直哉は言っている。
「もぉ〜直哉までっ!!」
私は直哉の頭を軽く叩く。
「いってぇ〜!!」
そう言いながらでこピンをされた。
「ねぇ…?」
私と直哉が話している間に、ふと、亜由美が入ってきた。
「「ん?」」
思わず直哉と声がかぶってしまった。
「直哉と未来って仲いいよね。最近。」
「そぉ?」
「そーか?」
また声がはもった。
「ほらっ!」
亜由美が勢いよく私たちに指を指した。
「え?何がよ?」
私はなぜほらっ!って言われたのか原因がわからなかった。
「何だ?」
直哉も不思議そうに首をかしげている。
「さっき!」
「さっき…?」
私はまだわからないままだった。
「もぉ~!声が2人、はもってんのっ!」
ちょっと頬を膨らませて亜由美は言った。
「いやいやっ!まぐれだって!」
「そうだよっ!」
私と直哉が断固否定する。
「しかも…」
ちょっと俯きながら亜由美は話を続けた。
「え?しかも、何?」
「最近よく2人話してるじゃん!」
ん…?
亜由美何かキレてない?
「だって、席ちけぇーからしゃーねぇーんじゃね?」
私が気のせいだよ!って言う前に直哉が反応した。
「ふぅ~ん。」
そう言った亜由美はそっぽ向いてしまった。
私はそっぽ向いてしまった亜由美に、気のせいだよ!と言ったのに、亜由美は無反応だった。
…もしかして…?
あとで聞いてみようっと♪
私はふと直哉の方に視線を移すと、まだ首をかしげている直哉が居た。
…直哉…鈍感っ!!
ぷぷっ!
私は心の中で直哉の鈍感さに笑ってしまった。
―ツンツンッ
背後から誰かに突付かれる。
…背後って言ったら直哉しか居ないか。
私はそんなことを考えながら後ろを振り返る。
「なぁー…何であいつキレてんの?」
あいつ…あぁ!亜由美のことか…。
やっぱ鈍感すぎっ!
「しらなーい。ふふっ」
「はっ!?ふふっ、って何だよっ!」
「えー?何でもないよー?はははっ」
私は直哉と会話をしながら横目で亜由美に視線を移す。
―あっ…。やっぱ…。
目が合ったから、きっと…だね。
「ーい…おーいっ!」
「んっ!?はっ!?え?何っ!?」
何ボーっとしてんだぁ?
「え…別にっ」
私は意味深な笑みを浮かべながら答えた。