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震える自分の身体をぎゅっと抱きしめながら、瀬良先生が来るのをジッと待つ。

さっきは本当に怖かった…

まさかアイツに居場所がバレてるだなんて思っていなかったから。

どうやって私の居場所を知ったの?

誰にも教えてないし話してないのに…

より怖くなり更に抱きしめる腕に力が入る。

「待たせたな、藤崎」

そんな時、瀬良先生が戻って来て、いつもの笑顔を見せてくれた。

その笑顔を見て安心した私は、急にポロポロと涙が溢れ落ちる。

泣き顔なんて見せたくないから止めようとするけど、全く言うことを聞いてくれない私の涙腺は壊れたままどんどん涙を流していった。

「…怖かったよな、遅くなって悪かった。ゴメンな、藤崎」

瀬良先生が、見た目と反した逞しい腕で私を優しく包み込んでくれる。

「…せ…ら、先生は悪くないです。助けて、く、れ、て…ありがとう、ございました」

涙のせいで途切れ途切れながらも、なんとかお礼を言った私。

「とりあえず車に乗ろうか?」と言った瀬良先生は、私に寄り添いながらゆっくりと車へ案内し乗せる。

そして運転席に座った瀬良先生は、私のシートベルトをカチャンと締めた。

「今日は朝練サボって、少しだけこのままドライブにでも行くか」

ニカッと笑った先生は、学校とは反対方向へ車を走らせる。

三十分ほど流れる景色を車窓から見ているうちに、涙もいつの間にか止まり、少しずつ気持ちが落ち着いていった。

「ありがとう、瀬良先生。もう大丈夫です」

瀬良先生は、私の気持ちを落ち着かせるために車を走らせてくれたんだよね?

早く戻らないと瀬良先生まで学校に遅れちゃうのに…

優しい…

どれだけ瀬良先生のこと好きにさせるつもり?

もう、私の心の中は瀬良先生への気持ちでいっぱいだよ?

私は運転をしている瀬良先生の横顔をじっと見つめる。

「あんま見んな///照れるだろ?」

「ふふ…瀬良先生でも照れる事があるんだね」

「うるせー///」

「あはは、瀬良先生ってば可愛い」

チラッとこっちを見てから、私の頭にポンッと左手を置き

「お前は、そんな風にこれからも笑ってろ」

なんて笑顔で言うから、胸がきゅんと締め付けられてしまった。