「ほら、咲良からは何も言わなくていいの?」








「えっ…?」








いきなり茜に話を振られて戸惑う私。










何か、言うこと……?
そんなの一つしかない。









「私は雄大しか、好きになれないみたいだから………智樹の気持ちは嬉しいけど、きっと智樹には私なんかよりいい人が見つかるよ!」








………待って。








思いきって勢いで言っちゃったけど、私今、超偉そうなこと言わなかった…!?










急に不安に襲われる。








「………俺はもう咲良以上の人物には出会えそうにないなぁ。」









智樹がいつもの調子で言うもんだから、本気か冗談かわからなかった。










一方で雄大は………少し顔を赤くして照れていた。









「智樹、今日はもう帰るわ。」
「…………あぁ。俺の入る余地はなさそうだな。今日は折れてやるよ、じゃあ幸せに。」










「ありがとう。………咲良、行くぞ!」
「えっ!!?」








突然雄大に手を握られ、グイッと引っ張られる。









「ちょ……雄大!?」
「2人ともお幸せに〜〜。」







茜の呑気な声が聞こえてきた。








私は抵抗することを忘れ、黙って雄大についていった……。