ぎゅうって抱きしめる力が強くなる。 「ちょっ、ダメだよ……」 「咲良隙ありすぎ。ほんと馬鹿だな。」 私の耳元で、低い声で囁かれる。 「………っ!」 本当のことだから言い返せない。 「じゃあ俺が黒髪に染めたら、咲良は俺のこと少しはみてくれるのか?」 「えっ……。」 急に真剣な声になるから、どう返していいのかわからなくなる。 するとその時、勢いよく扉が開いた。