じゃあ私は……
「助かったの……?」
「そうだ。幸い、全身麻酔だけされた状態だったから。」
「じゃあ、もうみんなのこと忘れなくていいの……?」
「あぁ。これでようやく咲良は北条咲良として生きられる。」
北条咲良として生きる。
それは当たり前のことなのに、それがとてつもなく嬉しかった。
ても、最後の最後まで……
私は智樹に助けられたんだ。
「私、何日眠ってたの?」
「3日。」
「え……!?」
3日も寝てたんだ……。
さすがにそれには驚いた。
だけど、それよりも聞きたいことがひとつ。
「智樹は……?」
「………寺内は………容体は安定して一般病棟に移ったけど意識はまだ戻っていない。」
「そっか………。」
「あいつ、本当にすげえよ。
男の俺でも尊敬する……。」
「そうだよね……感謝してもしきれないよ………。」
「………さくらぁ〜〜!!
私のこと忘れてたとか酷いよ!!」
少ししんみりした空気になっていると、茜が急に抱きついてきた。
「でも無事で、本当に良かった……。
心配させないでよね、バカ咲良!」
涙声でそう言う茜。
「うん………ごめんね、茜……。」
ぎゅうっときつく抱きしめられる。
その時にふと雄大の姿が見えた。
雄大は私が茜にとられて少しむすってしていて、思わず笑ってしまう。
「あ、今笑っただろ。」
「ごめん、なんか……幸せだなって……。」
そんな私達を見て、涙目になりながら優しく微笑む両親。
今の私、本当に幸せだ……。
これから私は北条咲良として、どういう人生を歩んでいくのだろか……?
今から想像しただけで、楽しみで仕方なかった…………。