どうして……?
私、記憶を消されたはずじゃ……?
なんで覚えているの……?
わけがわからなくて。
でも覚えていることが嬉しくて、涙が溢れてきた。
「咲良……」
あぁ、愛しい人の声がする。
「雄大………。」
私が彼の名前を呼んだ瞬間、両親と茜は泣きながら喜んだ。
「よかった……!咲良……!!」
「無事でよかった……!」
「咲良、体調は大丈夫か……!?」
これは現実だよね。
じゃあどうして…?
私は起き上がり、もう一度みんなの方を向いた。
そして私が質問する前に、雄大が口を開いた。
「俺たちの勝ちだ。」
「えっ……?」
勝ち……?
何が……?