本当は今すぐその場にしゃがみ込んで大声で泣きたかった。
でも、雄大がそばにいてくれたから……少しだけ楽になった気がするんだ。
「じゃあ、行こうか。
実験の準備を始めよう。」
「………っ!」
もう、そんな時間……?
もう、私は忘れてしまうの……?
全部……?
また少し歩くと、ある部屋についた。
そこにはたくさんの機械が置いてあり、どれも操作が難しそうだった。
その部屋にはたくさんの人がいて、機械を操っている。
ここで、私はまた白峰咲良になるんだ……。
「咲良……おい、咲良っ……!」
雄大の声がするけど反応ができない。
私は従うしかないと思い、自然と足を進めていた。
「咲良!!」
雄大は私の腕を引き、私を包んだ。
そして私の顎を持ち上げ、唇を重ねてきた。
ぬくもりが、唇から伝わってくる。
そこでようやく私は我に返る。
また涙が出てきた。
今日は何回泣けばいいんだろうか。
怖い………忘れてしまうことが、こんなにも。