「ではこれでホームルームを終わります。
解散です。」
先生のその一言でみんな立ち上がって口々に喋りだす。
「咲良、一緒に帰って話そう。」
智樹は立ちながらそう言って、私は頷いた。
「何々!?
2人とも改まって何を話すの!?」
伶奈が後ろから話しかけてきて、後ろを向くと私と智樹を交互に見ていた。
その声に美優ちゃんも反応して私の方を向く。
「秘密だよ。」
私は伶奈に微笑みかける。
「えー!何それ気になる!
親友に隠し事とかしていいと思ってるの?」
………この伶奈は本当の伶奈だろうか。
そもそも伶奈と私って親友なの?
お互い隠し事してるのに?
でも今はその気持ちを悟られないように、必死で自分を作った。
「秘密なものは秘密だよ。」
「咲良ちゃん!私も気になる!
寺内くんと咲良ちゃん、最近どーなの??」
今度は美優ちゃんも迫ってきた。
………そっか。私、智樹と別れたこと誰にも言ってないんだ。
でも今も、言おうとは思わない。
言ったらダメだって思うのは気のせいだろうか?
だから返答に困っていると、智樹が助けてくれた。
「いい感じに決まってるだろ?
咲良は恥ずかしがり屋だから、みんなに言うの恥ずかしいんだよな。」