だからなるべく平静を装いながら、彼の名前を口にした。
「いちいち言わないでよ、バカ智樹。」
「………。」
え……?
私、何か変なこと言った?
急に不安になり、顔を上げると……。
ほんのり顔を赤くして、視線を外した智樹が目に映った。
「………なんか、慣れてないから案外照れるな。」
どうやらお互い様のようだ。
「………慣れるまで時間かかりそうだね。」
「そうだな。」
そのあとは他愛のない話をした。
どうやら智樹も今から行く夏祭りは初めてらしい。
「結構有名らしいから、そういうの好きかなって思って。」
そういうのをさらっと言う智樹は素直にかっこいいと思った。