『次は〜〜駅、〜〜駅。』
アナウンスが流れる。
気づいたらもう彼の最寄りについた。
ホームのドアが開く。
と、金髪でピアスの一際目立っている彼が真っ先に目に入った。
そして彼は意外にも、浴衣を着ていた。
だからなのか、いつもより落ち着いて見えて大人っぽく感じられる。
浴衣、似合ってるな…
怖いイメージさえなければかっこいいのに、本当もったいない。
「何?俺に見惚れてんの?」
彼の声にハッとする。
「ち、違うよ!ぼーっとしてただけだから!」
彼に指摘され、初めて見惚れてたのに気づき、恥ずかしくなって俯いた。
「あ、照れてる。照れてる咲良、可愛い。」
彼に私の名前を呼ばれ、ドキッとした。
………実は前回のデートで、お互いのことを名前で呼ぶことになった。
もちろん私からではなく向こうから言ってきた。
私は了承したのだけど、いざ名前を呼ぶ、ってなったら恥ずかしくてなかなか言えない。