一定のスピードで進む自転車2台。
しばらく漕ぎ続け、着いたのは……
「……うわぁ…海。」
ザアンと音がなる、どこまでも広がる海。
少し離れたところに海があるのは知っていたけど、記憶がある限り、行った覚えはなかった。
「すごい、綺麗。」
太陽の光が反射しているようで、キラキラと輝いていた。
平日だからだろうか、人はほとんどいなかった。
「…………。」
寺内は一言も言葉を発しない。
すこし歩いて海へと歩み寄る。
「………綺麗だなぁ…。」
この海に飲み込まれてしまいたい。
そんなことを考えてしまう。
「………っ、」
思い出されるのは、さっきの2人のこと。
入坂と伶奈。
お似合いだなぁって。
……涙で視界が歪み、前が見えにくい。
隣に寺内がいるのに、違う人のことを考えて泣くなんて本当に最低だ。
頭ではわかっていても、体は正直だ。