本当に私ってバカだ。
こんなにも好きって、2人が付き合ってから気づくなんて。
「あいつっ………」
隣で低いドスのきいた声がした。
隣を見ると、彼は怒っていた。
何故だかわからないけど、怒っていたんだ。
ねぇ、なんで怒ってるの?
誰に怒ってるの?
あの2人を見てるから……入坂?
「おい、行くぞ。」
「……えっ?」
寺内は私の腕を掴み、Uターンをして来た道に戻る。
何か言葉を発しようとしたが、何も言えなかった。
掴まれた手が強くて、きつかったから。
抵抗できなかったのもあるけど、それ以上に……
早くあの2人から逃げたかったのに、自分1人じゃ体が動かなくて、あの場から去れなかった。
私、寺内に助けられてばっかだなぁ。