「ちょっといいか?」





また、あの人に話しかけられた。






朝、悲しい表情をしていたのを思い出す。





「………何ですか?」






私は朝同様に敬語で話した。






「…………話したいことがあるんだ。
嫌なら別にいい。」






私をじっと真剣な顔つきで見てくる。





そんな顔で見られたら、断れないよ。







「…………わかりました。少しだけですよ?」






そう言って私は伶奈に
「ごめん、ちょっとだけ待ってて。」
と声をかける。






「何かあったらすぐ連絡してね!」







「ありがとう。」






心配そうな伶奈にお礼を言い、私は彼の後ろについて行った。