お母さんがいなくなってから、お父さんが私に声をかける。








「咲良、気にするなよ。
お母さんは本当にどこかずれてるよな。」










「うん、大丈夫。いつものことだから。




お父さんこそいつもおかわりなんかしないのに、困っている私を助けるために無理したでしょ?





ありがとう。」









素直にお礼を言うとお父さんは少し戸惑ったあと、







「いやぁ、実は今すごくお腹がいっぱいなんだ。




でもお礼を言われたら味噌汁なんか飲みきるしかないだろう。





お父さんは咲良を助けるためならなんでもするからな!」









「別にそこまでは求めてないから…。」









「うぅ……、やっぱり咲良が冷たい……。」










………うん。
やっぱりお父さんは優しい人だけど、重い!
めんどくさい!









まぁそんなお父さんのこと嫌いじゃないよとは口が裂けても言えない。







恥ずかしいから。







このあとお父さんは味噌汁を飲みきるのに苦労することになる……。