「ヘレン……もうあの魔法は使わない方がいい。お前が傷つくだけだ。」



「痛みが来るだけだよ。外傷なんてないんだから。」



昨日、王子の耳の後ろにつけた『跡』。



あの魔法は、『跡』を持つ人間が他者から殴る蹴るなどの暴行を加えられた際、



その時の痛みが『跡』をつけた人間に襲いかかるという魔法だ。



つまりこの場合、『跡』を付けられたガイ王子が稽古中に殴られ、



その時の痛みが『跡』を付けた私にきたということになる。



「ガイ王子は、お前のかけた魔法の正体に気づいてるのか?」



「気づいてないと思うよ。……でも、今ので気付かれたかな?痛みがちゃんと私にきてるってことは、ガイ王子は痛みを感じてないわけだし。」