私の手をとる母の手は、 私に触れる母の手は、 暖かく、繊細で。 少し強くその手を握り返せば、 いとも簡単に消えてなくなってしまうのではないかと思うほど 儚く、脆かった。 ステラ家に嫁いだ身であった母は魔法を使う事は出来ずにいた。 故に、魔法師の父と人間の母から生まれた兄は純血の魔法師ではない。 もちろん私も同様だ。 ……兄は充分優秀な魔法師だった。