「王子……」 頬を涙が伝う。 幾度も流れるそれを手の甲で拭い、 王子の冷たくなった手を握った。 「王子、私、まだあなたに、預けていないものがありました。」 あの時のように、 私と王子の体が淡い光に包まれる。 桃色のそれに包まれた中で、 私は王子に託し忘れたものを彼の中に送り込んでいく。