……恥ずかしい。恥ずかしくてたまらない。 逃げたい、今すぐ、彼の手の届かない場所に。 それでも私は、 一歩ずつ、ハイカットブーツのヒールを鳴らしながら足を進めた。 「恥ずかしいか?」 王子の前で足を止めれば、 口元を歪め私を見上げる黒い瞳と視線が交わる。 「そ、そんな事、聞かないでくださいっ……」 意地悪な質問をされ、無意識に視線を逸らして答えた。 その瞬間、右腕を捕まれ強く引き寄せられる。