威圧的な笑みを浮かべながら近づいてくる王子との距離を取るように、



私も自然に後ろ向きに下がる。



……が、ドアの前に立っていたせいもありすぐにこれ以上下がる事が出来なくなった。



ーーートンっ



気付けば、ドアに肘をついて至近距離で見つめてくる王子に挟まれていた。



「あああああの」



「ヘレンっ……」



お色気たっぷりに名前を呼ばれ、今までにないほどのスピードで顔に熱が集まるのを感じる。



心臓さえも激しく動き出した。



ななななんでなんだろう。