「……敵には背を向けず力を尽くすこと。常に冷静で優雅であること。それから」



「それから?」



「主の命令は絶対であり背くことを禁ずる」



「では、お前の主は誰だ?」



ーーーコツコツ



そう言い座っていたソファーから立ち上がり、私の方へと一歩一歩近づいてくる王子。



距離が近づくのと比例するように、王子のブーツが床にあたり響く音が次第に大きく聞こえる。



「あ、あの、王子」



「……答えろ、ヘレン。」