……いや、そんなこと言ってる場合じゃない。



いつまでも王子の部屋の前で休んでるわけには行かない。



「ふぅー………」



ーーーコンコンッ



「……どうぞ。」



少しの間の後にドアの向こうから少しくぐもったような声が聞こえる。



すぐそこに、王子がいるんだ。



……今から私はステラ家の人間だ。



中身はガサツだけど表向きは淑やかに、冷静に。



「失礼致します。」