ずるいんだ、あの人は。



こんなにも人の気持ちを揺さぶるくせに、



こんなにも人の気持ちを掴んで離さないくせに、



自分は肝心なこと何も言わない。



もどかしくて、悔しくて、苦しくて。



それなのに嫌いだと突き放せないのは、



私が彼に落ちてしまったから。



彼への気持ちに気づいてしまったから。



「ガイ、王子……」