そしてその手は再び背中に回され強く抱き寄せられる。 ーーートクンッ トクンッ 一定の規則で脈打つ王子の心臓の音が聞こえた。 耳元に熱い吐息がかかる。 「……あまり俺を妬かせるな。それと……」 「っ………」 城下で買ってもらったエンジの髪留めが王子の手により外され、 結われていた髪がおろされる。 「やっぱり、よく似合ってる、この髪留め。凄く…かわいい。」 「お、王子っ………」