「ヘレン。」



「はい。」



ずっと口を閉ざしていた王子が小さな声で私を呼んだ。



「……嫌だったんだ。」



「なにが、ですか?」



「稽古場には俺以外の男がたくさんいる。だから……お前をほかの男に見せたくなくて、来るなと言った。」



再び王子の口から紡がれた独占欲に胸がドキリとする。



「どうして、他の男の人に見せたくなかったんですか?」



「……お前は俺のだからだ。」



期待して投げかけた質問の答えは、私の望んでいたものとは違った。