黒を基調としたこの制服は、 セイクリッド家の護衛という唯一の証だ。 確かに夢ではあったけど、自分の実力じゃ無理だと思っていたから 今改めて鏡で自分の姿を見るとその事実を実感する。 ……やっと、夢を掴んだんだ。 「お母様。」 王子の部屋に向かう前に、写真の中で笑う母に話しかける。 病弱だった母は、私が5つの時に亡くなった。 当時幼かったせいもあって記憶は曖昧だけど、 母はいつも優しくニコニコと笑っていたように思う。