やっと仕事にも慣れてきた。

『キャバクラ嬢』。

もちろん、職場でも友達ができた。



私の大学になんかは絶対にいないタイプの女の子。某ギャル雑誌の読者モデルなんかもやってるらしい『奈々』。
好きになる男はいつもホストの『あきな』。


そして、同じ大学に通う友人『あゆみ』。別に私がこの世界にひきずり込んだわけではない。彼女はお金が必要…と言うか楽して稼ぎたいのだと言っている。そして、彼女は私の事が好き…らしい。男ももちろん普通に愛せるのだとか。彼女言わく、女の子の柔らかいパーツが好きなだけで、『バイセクシャル』というか…性癖に近いもの?。本人はそう言ってる。

普段はあゆみといることが多いかも。店ではよく同じ席に着く。他の2人とはもっぱら待機でのおしゃべりだったり、ヘルプにはいったり。



「あゆみ〜、帰りなんか食べて帰ろう〜。」

「いいよ―。」


あゆみは最近、私の住んでいるマンションに入り浸っている。というか、彼女も東京に上京してきた身でこっちに住んでいるおばぁちゃんの家に世話になっているけれど、新宿から電車で一時間の距離。キャバクラは『送り』があるけれど、朝から授業がある日は大学から近い私の家に帰るほうが都合がいい。らしい。


私もひとりであの1Rの殺風景な部屋に帰るよりも誰かいてくれたほうが…。うん。寂しがりやだから。


店を出ると、ホストのキャッチやらなんやらで黒いカラスがうじゃうじゃいる感じ。数十メートル歩く度に奴らが寄ってくる。
そんなカラスの群れを追い払って、どうにか行き付けの定食やさんにたどり着いた。ここは朝方まで営業しているから夜働く私たちにとっては有難い存在。

今日も一日おつかれって感じで、とりあえずビール。
「はい。おつかれ〜!」

「おつかれ〜。藍衣ちゃん明日買い物行かない?」

「あ〜だね。行こ。」


そう。今日は私たちの給料日。OLさんが1ヶ月に貰うお給料の倍はもらっちゃってます。稼いじゃってます。


働き始めて3ヶ月がたち、何気に貯金もできちゃったりして…。学校とキャバの両立。なんとかなってる。


(買い物…何買おうかな…。)