あゆみは実家に帰ったきりで、夏休みの半分が過ぎてきた頃だった。もっぱら店での話し相手は、『あきな』と『なな』。ななもあきなの紹介でこっちの仕事に職替えしたのだ。

そんなある日の午後、まだ予約の客が来るまで時間を持て余してななとくだらないお喋りをしていた。

「最近どう?彼氏と?」

「まぁ、会えて週一…。」

プルルル…

「はい。藍衣です。」

「藍衣ちゃん、60分で新規お願いね。」

「は〜い(新規かよ。だるぃ…)。仕事入っちゃった。ななちんは彼氏に仕事の事言ってるの?」

「まさか(笑)言うわけないし。」

「だね(笑)行ってきま〜す。ってマジでだるい(笑)」
「頑張って〜。」




「(さてと…こんな時間に来る客なんて…。)いらっしゃいませ、藍衣です。」