「藍衣ちゃん、お疲れさまです。90分でお客様ご案内しますのでお願いしますね!」

「は―い。(…うわ。なるようになる…かな…)。」



「いらっしゃいませ。初めまして。藍衣です。」


ドアを開けて、目の前に、私の初めてのお客さまが立っていた。

30代半ばくらいの、私服姿の…サラリーマンではない…感じ。どっちかと言えばちょい悪風の、風俗なんか来なくてもそこらのおねぇさんなんかがホイホイついてきそうな。キャバクラ辺りで夜な夜な飲んでいそうな遊び慣れたおじさんって雰囲気。

(まぁ平気。やれる範囲内。きもいおっさんじゃなくて良かった…。)



講習を受けた通りに、お客さまの服を脱がしてシャワーに向かう。

「お仕事帰りですか?」

やや緊張気味に、でもって当たり障りのない会話に持っていく。

キャバクラと一緒で、入店したての、いかにも素人っぽい役作りはお手のもの。ってか、風俗ならずっとこのキャラで通して行けそう。


(だって、これからは毎日何人ものおとこの前にハダカでいるんだし。)


「うん。そんな感じかな…。そう言えば今日からなんだってね。この仕事。」

「はい。学費が必要で。時間に融通がきく仕事ってこれしかなくて。」

「そうなんだ。出身は?」
「埼玉です(はい。うそです。)」

「ここまでは通い?」

「いえ。今月から都内で一人暮らしなんです。埼玉って言っても、ちょっと遠くて…。(キャバで働いといて良かった…。こういう会話したくなくて、しなくちゃだし。)」


お客さまの体を拭いて、いざ…。

「こんな仕事ほんと初めてで…。」

ぎこちない雰囲気でキスから始めていく。

キスから相手の胸元へ…そして腹部にかけて舌を這わせて…。