目の前に置かれた面接用紙に文字を並べていく。


名前〉若菜藍衣

年齢〉18歳

出身地〉秋田県

職業〉大学生

水商売の経験〉なし。

求人orスカウト〉スカウト。

この仕事を選んだ理由〉お金の為。




(キャバクラって言っても普通のバイトの面接と変わんないじゃん…。意外…。)


そう。

今私は新宿は歌舞伎町のとある雑居ビルで『キャバクラ』の面接を受けている。

大学からの帰り道、新宿駅でいつもなら素通りしてしまう『スカウトマン』の『キャッチ』につい立ち止まってしまったのだ。




「時給3500円スタートで、あとは…え〜っと藍衣?のヤル気次第!面接だけでも行ってみない?できれば体入なんかも…。」

「う〜ん…。話し聞きに行くだけなら。体入って何?」

「オッケー!とりあえず話しだけでもね!行こ。」



(だから、体入って何だよ。)


このスカウトマンの男の名前は『木村』と言うらしい。



後にも先にもこいつに世話になったのはこれっきり。