ドンと背中を押されてハッとした。
そ、そうだよね、こんな風にうじうじしてるのは私らしくないや……!
「私、ちょっと先輩のところ行ってくる!」
睦月にはメイクの時もお世話になったし、助けてもらってばかりだ。
「ありがとね!」
「ふんっ、別に」
プイッとそっぽを向いて行ってしまった睦月。
ていうか『……俺にすればいいのに』って、どういう意味だったんだろう?
うーん、と考えても答えは出てこない。
まぁ、いっか!
「高広先輩!!」
大きな声で名前を呼んで、振り向いた先輩にしかめっ面を向けられる私には
睦月の本心なんてわからない。
「くそっ……何言ってんだよ、俺」
わかっていない。