「小春」って。

聞きなれた声。

振り向かなくたって分かる。その声は、先輩、あなたでしょう。




「な、なんですか?」

「1人なの?アイツは?」




先輩が言うアイツっていうのは、きっと睦月のことだ。




「そうですけど……睦月は今日バイトみたいで」




私の言葉に、「ふーん」と短く返す先輩。

少し声が枯れてるような気がするんだけど……私の気のせいかな?



「明日、お前どーすんの」

「どうって、睦月と一緒にいますけど」

「へぇ」



先輩から聞いたくせに、その冷たい態度は何なんですか。



「お前、ちゃんと女として見られてんの?心配なんだけど」

「なっ、はぁ?当たり前じゃないですかっ」

「どーだか」



クスクス笑う先輩にムッとする私。