見えたその光景に、俺は目を見開いた。
『あの、えーっと……わ、私、向こうの自販機行きますね!』
『……先輩って、ズルいです』
……違う。
例えるならこれは、俺だけに懐いてた猫が突然違う奴にも懐くようになって、
なんだ俺だけじゃないのかって少しだけ寂しくなるのと一緒。
『高広、もしかして嫉妬してんの?』
嫉妬とかじゃ、ない。
そもそも小春に執着する必要なんて俺にはないし、彼女のなるみだっている。
だから、イライラするとか腹立つとか、こんな感情、おかしいんだ。
それなのに、どうして。
「……なんで」
窓についた手をギュッと握りしめた。