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放課後は、教室に残って勉強するのがもう習慣になってしまった。
別に、小春のことを待ってるとかじゃない。
ただのルーティーンみたいなもの。
『高広先輩!!』
だから、思い出すなって、俺。
参考書から視線をあげて、はぁ、とため息をつく。
『……先輩って、ズルいです』
『こういう、思わせぶりなこと、やめた方がいいですよ』
何で、泣きそうな顔なんかしたんだ。
お前、睦月って奴が好きなんだろ?
だから付き合ってるんだろ?
ギュッとシャーペンを握りしめる。
「……バカらし」
ガタッと音を立てて立ち上がった。
もうさっさと家に帰ってしまおう。
そんなことを考えながらふと窓の外に視線を移す。