大きな声を出す宗介に、俺は眉を寄せた。



なるみとは彼氏彼女になったわけだけど、たまに一緒に帰って、勉強するだけ。

前になるみがふざけて腕を組んできたことがあったけど、

恋人らしいことなんて多分それぐらいしかしてない。




「高広のバーカ!」


「ガキ……」




はぁ、とため息をついたところで、「あれ?」と宗介が声をあげた。


視線の先は、俺の後ろ……?


不思議に思ってくるっと振り向くと、




「小春?」


「あ、はは……」




小さなサイフを持って苦笑いをしている小春がいた。



いつもだったら"高広先輩!"って、俺が気づく前に飛びついてくるのに。


なんでそんな隠れるようなことするんだよ。