恐る恐る顔を上げてから、後悔した。


だってそこには───……。






「っ、バカ……!」






その瞬間、一気に視界が暗くなって。

目元に感じる温もりと、すぐそばで聞こえる声に、

あぁ、睦月に目隠しをされてるんだ、と気づいた。




「……自分から見る奴がいるかよ」


「だ、だって」




もういいよ、っていう意味を込めて、睦月の手にそっと触れる。




「……走ってきたの?」




目の前にいる睦月は、肩で息をしていて、髪の毛だって乱れてた。


も、もうとっくに帰ったと思ってたのに。


どうしてこんなところに?




「ハッ、まさかストーカー……」


「んなわけねぇだろ、たまたまだっつの」